WindowsにPython3系とnumpy・scipyをインストールする方法(2/3 ライブラリ編)
WindowsにPython 3系統(記事作成時点で3.6.1が最新)と,データ分析等でよく使用するnumpyやscipyといったライブラリをインストールする方法,そして,Visual Studioとの連携の仕方などをまとめました.
本記事は第2回 Pythonライブラリのインストール編です.
- (1/3)Pythonインストール編
- (3/3)Visual Studio 連携編
pipのアップデート
第1回のPython実行環境のインストールに続いて,各種ライブラリのインストールを行います.
その前に,Pythonのパッケージマネージャ(Linuxでいうaptやyumのようなもの)のアップデートを行っておきます.
管理者コマンドプロンプトもしくは管理者PowerShellを開きます.
Windows 8以降の場合は,タスクバーのWindowsボタンを右クリック(もしくはWindowsキー+Xキー)でWin+Xメニューを開き,「コマンドプロンプト(管理者)」もしくは「Windows PowerShell(管理者)」をクリックしてください.
Windows 7では,スタートメニューの[アクセサリ]から[コマンドプロンプト]を右クリックして[管理者として実行]してください.次のコマンドラインを入力して実行します.
python -m pip install --upgrade pip
pipのより新しいバージョンが存在する場合はダウンロードと更新が実施され,最新のバージョンがインストールされている場合はその旨が出力されます.(Web Installerを使用した場合は最新版がインストールされているはずです)
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install --upgrade pip Requirement already up-to-date: pip in c:\program files\python36\lib\site-packages
NumPyのインストール
Numpyは大規模な多次元配列や行列を扱い,これらを高速に操作するための関数が含まれている,非常によく使用されるライブラリです.
が,ソースからインストールを行うとなると,どのプラットフォームにおいても,Intelの数値計算ライブラリ*1やコンパイラの準備が必要となります.そこで,事前にIntelの数値計算ライブラリを使用してビルドされたライブラリパッケージをインストールすることで,簡単に高速実行できるNumPyをインストールできます.
wheelのインストール
事前にビルドされたライブラリパッケージ(wheel形式)をpipを用いてインストールするためのツールをインストールします.
(管理者)コマンドプロンプト・PowerShellを起動します.
次のコマンドラインを実行します.
python -m pip install wheel
インストールが完了したことを確認します.
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install wheel Collecting wheel Downloading wheel-0.29.0-py2.py3-none-any.whl (66kB) 100% |████████████████████████████████| 71kB 487kB/s Installing collected packages: wheel Successfully installed wheel-0.29.0
NumPyのダウンロード
続いて,NumPyのパッケージをダウンロードします.
米カリフォルニア大の http://www.lfd.uci.edu/~gohlke/pythonlibs/#numpy にアクセスします.
numpy‑1.12.1+mkl‑cp36‑cp36m‑win_amd64.whl をダウンロードします.
(Python 3.6.X (x64)なので,cp36,amd64を選択します)
以下,各ファイルのダウンロード先は “D:\PythonInstaller” とします.
NumPyのインストール
NumPyのインストールを行います.
(管理者)コマンドプロンプト・PowerShellで次のコマンドを実行します.
python -m pip install D:\PythonInstaller\numpy-1.12.1+mkl-cp36-cp36m-win_amd64.whl
インストールが完了したことを確認します.
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install D:\PythonInstaller\numpy-1.12.1+mkl-cp36-cp36m-win_amd64.whl Processing d:\pythoninstaller\numpy-1.12.1+mkl-cp36-cp36m-win_amd64.whl Installing collected packages: numpy Successfully installed numpy-1.12.1+mkl
SciPyのインストール
次に,SciPyのインストールを行います.
SciPyは,Pythonで高度な科学技術計算ができるようにするための,数学・科学技術計算関数を詰め合わせライブラリです.
NumPyと同様に事前にビルドされたライブラリパッケージをダウンロードしてインストールします.
scipy‑0.19.0‑cp36‑cp36m‑win_amd64.whl をダウンロードします.
(Python 3.6.X (x64)なので,cp36,amd64を選択します)(管理者)コマンドプロンプト・PowerShellで次のコマンドを実行します.
python -m pip install D:\PythonInstaller\scipy-0.19.0-cp36-cp36m-win_amd64.whl
インストールが完了したことを確認します.
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install D:\PythonInstaller\scipy-0.19.0-cp36-cp36m-win_amd64.whl Processing d:\pythoninstaller\scipy-0.19.0-cp36-cp36m-win_amd64.whl Requirement already satisfied: numpy>=1.8.2 in c:\program files\python36\lib\site-packages (from scipy==0.19.0) Installing collected packages: scipy Successfully installed scipy-0.19.0
scikit-learnのインストール
scikit-learnのインストールを行います.
scikit-learnは,NumPyとSciPyを用いて機械学習を行うライブラリで,様々な分類・回帰・クラスタリングアルゴリズムが含まれています.
NumPyと同様に事前にビルドされたライブラリパッケージをダウンロードしてインストールします.
http://www.lfd.uci.edu/~gohlke/pythonlibs/#scikit-learnにアクセスします.
scikit_learn‑0.18.1‑cp36‑cp36m‑win_amd64.whl をダウンロードします.
(Python 3.6.X (x64)なので,cp36,amd64を選択します)(管理者)コマンドプロンプト・PowerShellで次のコマンドを実行します.
python -m pip install D:\PythonInstaller\scikit_learn-0.18.1-cp36-cp36m-win_amd64.whl
インストールが完了したことを確認します.
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install D:\PythonInstaller\scikit_learn-0.18.1-cp36-cp36m-win_amd64.whl Processing d:\pythoninstaller\scikit_learn-0.18.1-cp36-cp36m-win_amd64.whl Installing collected packages: scikit-learn Successfully installed scikit-learn-0.18.1
matplotlibのインストール
PythonでMATLABのようなグラフを出力するためのライブラリです.
pipを用いてインストールします.
(管理者)コマンドプロンプト・PowerShellで次のコマンドを実行します.
python -m pip install matplotlib
インストールが完了したことを確認します.
PS C:\WINDOWS\system32> python -m pip install matplotlib Collecting matplotlib Downloading matplotlib-2.0.0-cp36-cp36m-win_amd64.whl (9.0MB) 100% |████████████████████████████████| 9.0MB 118kB/s Collecting pyparsing!=2.0.4,!=2.1.2,!=2.1.6,>=1.5.6 (from matplotlib) Downloading pyparsing-2.2.0-py2.py3-none-any.whl (56kB) 100% |████████████████████████████████| 61kB 4.7MB/s Requirement already satisfied: numpy>=1.7.1 in c:\program files\python36\lib\site-packages (from matplotlib) Collecting python-dateutil (from matplotlib) Downloading python_dateutil-2.6.0-py2.py3-none-any.whl (194kB) 100% |████████████████████████████████| 194kB 3.7MB/s Collecting six>=1.10 (from matplotlib) Downloading six-1.10.0-py2.py3-none-any.whl Collecting cycler>=0.10 (from matplotlib) Downloading cycler-0.10.0-py2.py3-none-any.whl Collecting pytz (from matplotlib) Downloading pytz-2017.2-py2.py3-none-any.whl (484kB) 100% |████████████████████████████████| 491kB 2.0MB/s Installing collected packages: pyparsing, six, python-dateutil, cycler, pytz, matplotlib Successfully installed cycler-0.10.0 matplotlib-2.0.0 pyparsing-2.2.0 python-dateutil-2.6.0 pytz-2017.2 six-1.10.0
以上で各種主要ライブラリのインストールが完了しました.
pipでインストール可能なライブラリはscikit-learnやmatplotlibと同様の手順でインストールすることが出来ます.
次回はVisual Studioとの連携についてまとていきたいと思います.
*1:入手に会員登録が必要
WindowsにPython3系とnumpy・scipyをインストールする方法(1/3 Pythonインストール編)
WindowsにPython 3系統(記事作成時点で3.6.1が最新)と,データ分析等でよく使用するnumpyやscipyといったライブラリをインストールする方法,そして,Visual Studioとの連携の仕方などをまとめました.
- (2/3)ライブラリインストール編
- (3/3)Visual Studio 連携編
インストール先の環境
Windows 10(x64) Creators Update (Version 1703)にインストールを行います.
これ以前のWindows(7, 8.1, 10)でも方法は同じのはずです.
インストールするPythonのバージョン
CPython 3.6.1 (x64)
最も一般的に用いられるPythonの実装であるCPythonを用います
インストールしたPythonライブラリ
- wheel
- numpy
- scipy
- matplotlib
- scikit-learn
Pythonのダウンロード
Pythonのインストール
Add Python 3.6 to PATH にチェックを入れ, Customize installation をクリックします.
pip にチェックが入っていることを確認して,Next をクリックします.
[Documentation]等の他の項目の選択は任意です.
Install for all Users,Add Python to environment variables,Precompile standard library にチェックを入れ, Install をクリックします.
インストールが始まります.
インストールが完了しました.Close をクリックして終了します.
Pythonがインストールされたことの確認
Pythonが正常にインストールされていることを確認します.
コマンドプロンプトを起動し(PowerShellでもOK),Pythonの対話実行環境が起動できることを確認します.
確認出来たら,exit()
を実行してPythonを終了してください.
Microsoft Windows [Version 10.0.15063] (c) 2017 Microsoft Corporation. All rights reserved. D:\>python Python 3.6.1 (v3.6.1:69c0db5, Mar 21 2017, 18:41:36) [MSC v.1900 64 bit (AMD64)] on win32 Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information. >>> exit() D:\>
Windows Server 2016のインストールメディアの分割方法
はじめに
Windows StoreやVisual Studio Subscription(旧 MSDNサブスクリプション)で配布されるWindowsのインストールメディア(isoファイル)は最近ではUSBフラッシュメモリを用いてインストールを行うことが想定されているためか,DVD1枚に収まる容量(4.7GB)を超えるサイズのものが存在します.
(参考)Windows Server 2016 : 5621MB
しかしながら,世の中にはまだまだUSBフラッシュメモリからのブートが不可能なマザーボードも存在し,USBフラッシュメモリからのブートができたとしても,FAT32しか認識できない(4GB以上のファイルが格納できない)などといったケースが少なからずあります.
そこで,ここでは,Windowsインストールメディアに含まれる最大サイズのファイルであるinstall.wimを任意のサイズに分割して,複数のより小さなisoファイルを作成する方法を説明します.
※注意
Windows 8/8.1,Windows Server 2012/2012R2では,以下の方法で作成した分割メディアはインストーラの不具合により使用できないそうです.
Windows 10以降では問題なく用いることができます.
分割メディアの作成手順
Windows ADKをインストールする
イメージファイルを編集するためのツールを導入するため,作業用のマシンに最新のWindows ADK(Windows Assessment and Deployment Kit)を下のリンク先からダウンロードし,インストールします.
Windows ADK のダウンロード - Windows ハードウェア デベロッパー センター
ダウンロードしたadksetup.exeを実行し,
「このコンピュータに Windowsアセスメント & デプロイメントキットをインストールします:を選択して続行します.
CEIPの選択画面ではどちらか好きな方を選んで続行してください.
インストールする機能を選択する画面では「Deployment Tools」のみを選択してインストールを開始します.
ADKのインストール作業が完了しました.
install.wimを分割する
それでは,ADKを用いてinstall.wimを分割していきます.
(注)以降,F:\
にWindowsのインストールメディアのisoをマウントしているとします.
スタートメニューから,「Windows Kits」→「展開及びイメージング ツール環境」を管理者権限で実行します.
次のコマンドラインを実行してinstall.wimを分割したファイルを作成します.
Dism /Split-Image /ImageFile:F:\sources\install.wim /SWMFile:D:\temp\install.swm /FileSize:3072
※/ImageFile
は分割元のファイル,/SWMFile
は分割したファイルの保存先ファイル名,/FileSize
は分割サイズ(MB) を表しています.
分割されたファイルはinstall.swm, install2.swm...といったように連番が自動的にファイルにつけられます.
swmファイルと必要なファイルの配置
作業フォルダに分割された数だけ
DVD1
,DVD2
というフォルダを作成し,各フォルダ内にsources
フォルダを作成します.分割されたswmファイルを各sourcesフォルダに一つずつ移動します.
(DVD1のみ)
起動ディスクとなるDVD1のみ,
F:\
からF:\sources\install.wim
以外のファイルを全てDVD1
フォルダにコピーします.
インストールメディア(isoファイル)を作成する
(DVD1のみ)
次のコマンドラインを実行してインストールメディアを作成します
oscdimg -m -o -u2 -udfver102 -b"F:\boot\etfsboot.com" D:\temp\DVD1 D:\temp\DVD1.iso
(DVD1以外)
次のコマンドラインを実行してインストールメディアを作成します(フォルダ名等は適宜変更)
oscdimg -m -o D:\temp\DVD2 D:\temp\DVD2.iso
※上記方法はBIOSブートのみ対応です.(UEFIは調べて追記予定)
以上で,分割されたインストールメディアが完成しました.
インストールを実行する
出来上がったisoファイルは,Windowsディスクイメージ書き込みツール等でDVD・CDに書き込むか,USBメモリに書き込みます.
インストールディスクが出来上がったら,DVD1を用いてインストールを開始することができます.
インストール作業中に次のディスクに入れ替えるよう指示されるので,次のディスクを入れてOKをクリックしてください.
Windows Updateによる自動再起動を阻止する方法(Vista以降全バージョン対応)
はじめに
月次もしくは臨時のWindows Updateでは,コンピュータの再起動が求められることが多いですよね.
そんな時,おそらく誰もが経験したことがある(?)のが,
「実行中の処理があるため今再起動されると困る」
「放っておいたら文書が保存されずに再起動していた」
(こまめに上書き保存しましょう)
ということ.
しかしながら,自動更新やWindows Update自体を停止してしまうことは, 脆弱性や攻撃からの保護の観点から,好ましいものではありません.
(こちらはサービスごと止めちゃうタイプ)
そこで,今回はユーザが「サインイン(ログオン)しているときのみ」自動で再起動が行われることを防ぐ方法をお伝えします.
なお,今回の手順を行うとユーザがサインインしている限り自動で再起動は行われなくなりますが,
安全性のためにも
出来るだけ早く手動で再起動するようにしましょう!!
今回行う手法では,Windows Updateサービスの停止やレジストリの直接的な変更を行うのではなく,
企業等においてコンピュータの動作を制御するために用いられる「ポリシー」(グループポリシー)を変更します.
そのため,変更を誤ってもコンピュータが起動しなくなるなどの問題が発生することはなく,変更を元に戻す際にも副作用等が発生することがありません.
Windows 10からのアップデート仕様の変更
Windows 10からは,脆弱性の対処をより迅速に行うために,これまでのWindowsと異なり,
Windows Updateの自動更新を設定からOFFにすることはできなくなりました.
また,自動更新適用後の再起動に関しても,あらかじめ設定した「アクティブ時間」以外では自動で再起動が行われるようになりました.(Pro以上のみ)
なお,今回の手順を適用することで,Windows 10でも同様に自動再起動が行われないようにすることができます. (Windows 10 Pro Anniversary Update (Version 1607)で確認)
適用手順
では,実際に設定を変更していきます.
以降の作業はすべてWindows 10 Pro Version 1607(Anniverssary Update)で行っていますが,
全てのWindowsでほぼ同じ作業手順となっています.(ただし全てPro相当以上のエディションのみ)
また,以降では,管理者によって管理されていない通常のコンピュータにおける手順を示しています. Active Directory配下の場合は管理者が適切なGPOを編集することで適用することができます.
ローカルポリシーエディタを開く
コマンドプロンプトもしくは「ファイル名を指定して実行」ダイアログにgpedit.msc
と入力して
「ローカルグループポリシーエディター」を開きます.
(Cortanaに「ローカルグループポリシー」と入力しても開くことができます.)
ポリシーを編集する
ローカルグループポリシーエディターの左ペインで
「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「Windows Update」
と辿ります.
ポリシーによるWindows Updateの制御を有効にします.
右ペインの「自動更新を構成する」をダブルクリックして設定ダイアログを開きます.
①「有効」を選択し,
②「5 - ローカルの管理者の設定選択を許可」をドロップダウンから選択します.
③最後に「OK」を押してダイアログを閉じてください次に,ユーザがサインインしている状態での自動再起動を抑止します.
ローカルグループポリシーエディターの右ペインで「スケジュールされた自動更新のインストールで、ログオンしているユーザーがいる場合には自動的に再起動しない」をダブルクリックして開きます.
「有効」を選択してから「OK」を選択してダイアログを閉じます.
以上でポリシーの編集は完了です.
ローカルポリシーの適用
ポリシーを編集しても,すぐに設定は反映されません.
コンピュータを再起動するか,次のコマンドを管理者コマンドプロンプトから実行して,
ポリシーを適用してください.
gpupdate /force
おわりに
以上で,ユーザがサインインしている間のWindows Updateによる自動再起動をブロックすることができるようになりました.
なお,頭でも述べましたが,脆弱性対策,安全性のためにも,
出来るだけ早く手動で再起動するようにしましょう!!